航空機産業への新規参入ー成功の普遍的法則(その3)

航空機製造

お待たせ致しました。
成功の普遍的法則を「航空機産業への参入及び成功」に適用するとどうなるかの「その3」です。
成功の第三の法則は
「過去の成功✕適応度=将来の成功」

です。
これを航空機産業に適用すると次のようになります。
過去の成功は、これまでに航空機産業ネットワーク内に参入している企業群が持ち合わせるものです。
先に説明したように、まずはこのネットワーク内で基本的には事業がクローズします。
これだけでは、新規参入企業の入る余地がありません。
それを救うのが、適応度(fittness)です。バラバシ教授の説明では「優位性を表す本質的な特性」としています。
具体的事例として、バラバシ教授が挙げているのが、
検索エンジンにおける「Google」
航空業界における「ボーイング」
米国内の地ビールにおける「サミュエル」
などです。それぞれ、参入時には、既に成功していた企業があったけれども、その優位性に打ち勝って成功しています。
それでは、航空機産業への新規参入という事例ではどうでしょうか?
日本の事例として、「AeroEdge株式会社(栃木県足利市)」が挙げられるでしょう。
AeroEdge社は2016年に事業を開始してすぐに、フランスのSAFRAN AIRCRAFT ENGINES社との直接契約を得ています。これは、非常に加工性の悪いチタンアルミ材の量産加工技術を保有していたからです。これが、AeroEdge社の適応度です。
カナダの事例として、「AV&R社(ケベック州サンブルーノ市)」が挙げられるでしょう。
AV&R社は航空機部品製造会社ではなく、エンジンブレードのロボット式仕上げ加工機の専門会社です。この機械はP&W、GE、RRをはじめ、世界中のブレード生産工場で使用されています。
これは、高い精度が要求されるブレードに対し、自動プロファイリング技術を保有していたからです。
これが、AV&R社の適応度です。
結論「航空機産業に新規参入するには自社が優位となる技術を獲得すること」。
もちろん、優位となる技術を獲得することは、簡単ではありません。しかしながら、必ず自社が得意としている技術はあるはずです。その技術を計画的にレベルアップしていくことにより、自社の適応度を向上させていくことができると考えます。

実は、バラバシ教授は新規参入に対し、有効な手法をもう一つ示しています。それは、
「最初にハブをプロジェクトに引き込んでおく」
です。
バラバシ教授は米国でヒットしたカードゲームを例に挙げていますが、そのゲームは日本ではあまり有名ではないためピンときません。そこで、私は、以下の事例で説明します。
それは、元雨上がり決死隊の宮迫博之氏のYouTubeチャンネルです。現在チャンネル登録者数142万人となり、後発にもかかわらず、成功しています。
それは、YouTubeのハブであるヒカル氏(チャンネル登録者数455万人)を自分のチャンネルに引き込み、コラボ動画を配信したことが成功の秘訣でした。ハブを引き込まず、自分自身の力だけで動画を配信していたら、ここまでの成功はできなかったのではと考えられます。
この手法は、航空機産業への新規参入へも当然適用できると考えます。すなわち、OEMやRRSP、ティア1メーカーとの豊富なネットワークを現在も保有するハブを自社に引き込み、ハブから有効に情報発信していく手法です。

現在、日本全国で数多くの航空機クラスターが形成されています。クラスター内で専門家を呼び勉強会を行ったり、国内外の展示会に出展し、技術力をアピールしたりしています。では、クラスターを活用した成功の方法はどのようになるでしょうか?
それは、次回の成功の第四の法則でご紹介します。

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